2026/04/09 17:59



[DUELLUM] (デュエラム) DUE-IX-089-JAK BELTED BLAZER
color / BLACK×RED STITCH
[fabric 1] wool 74% linen 26%
[fabric 2] linen 100%
[fabric 3] wool 100%
[body lining] cotton 100%
[sleeve lining] cupro 100%
着丈 : 70
肩幅 : 46
身幅 : 54
袖丈 : 68.5

まずブランドについてのご紹介。
整った構造に、“不安定な均衡”を感じさせる違和感が、このブランドの本質です。
The Viridi-anneのデザイナーである岡庭智明によって2020年にスタートしたこのブランドは、単なる派生ではなく、よりパーソナルで内省的なプロジェクトとして生まれています。



その衣装制作を通して感じた“人間の中に共存する二面性”こそが、DUELLUMの核となるテーマです。


ブランド名は「Duality(二面性)」と「Duellum(決闘)」を掛け合わせた造語。
相反する要素が衝突し、融合し、最終的にひとつの個性として成立する。
そのプロセスはデザインだけでなく、制作工程にも反映されている。
最後に施されるハンドステッチ――それは単なる装飾ではなく、“異なる要素を繋ぎ止める痕跡”として機能している。


クラシックなブレザーというフォーマットに、DUELLUMらしい“ズレ”を持ち込んだ一着ですが、ベースはテーラードジャケットです。
肩の構築、ラペルのアシンメトリーのバランス、フロントの重心。
身頃を左右で異なる生地を使い、その上に走るステッチや、わずかなパターンの歪みが、均衡を崩しているのにも関わらず、整った印象に落ち着いています。
そこで、大きな意匠性として存在感を放っているのはベルトの存在だと思います。


これは単なるディテールではなく、シルエットそのものを変質させる装置としての機能を持ちます。
ウエストを絞り、身体に沿わせることで生まれる緊張感を表現しつつ、逆に解放した時に現れる、脱力感も捨て難い。
このジャケットは完成された形を持たない、着る者の意思によって、構築と崩壊を行き来するデザインなんです。
それはまさにDUELLUMの思想そのものと言えます。
均整と崩し、その境界線上に存在する一着です。




[DUELLUM] (デュエラム) DUE-IX-091-TRS PATCHED TROUSERS
color / BLACK×RED STITCH
[fabric 1] wool 74% linen 26%
[fabric 2] linen 100%
[fabric 3] wool 100%
[fabric 4] cupro 100%
[lining] polyesrer 100%
ウエスト : 84(ドローコード有り)
総丈 : 107
股上 : 36.5
股下 : 80
わたり: 36

そして対になるパンツは、より直接的に二面性を可視化しています。
パッチワーク的に構成されたパターンに、異なるパーツ同士が接ぎ合わされ、その境界を強調するように走るハンドステッチ。
この“継ぎ”の感覚は、異質な感情同士が共存するための表現であり、むしろその違和感を表に出すことに意味があると言えます。


シルエットはワイドに取っていますが、異なる生地の組み合わせにより歪なドレープを生んでいます。
この動いたときに現れる立体的な陰影や布の重なりによる奥行きが芸術点が高いところですね。


テーラードという整った形式をベースにしながら、そこに異質な要素を差し込み、バランスを崩し、再構築することで生まれたジャケットに、その遺伝子を持っていながら単体での汎用性も併せ持つパンツ。
この凝縮された思考による実験的なプロダクトを体感してほしい。
それは綺麗に整ったファッションではなく、むしろ、少しの違和感や未完成さを抱えたまま成立するスタイルです。


DUELLUMの服は、完成された美しさを提示しないと考えられます。
未完成であることや矛盾を抱えていること、相反する要素が同時に存在していること。
そのすべてを肯定するための衣服だと言えます。
静かでありながら、どこか張り詰めているその緊張感こそが、このブランドの魅力です。

