2026/10/02 19:00
こんばんはClique Tokyoです。
今日も一日、お疲れ様です。
ぜひごゆっくりお過ごしください。
本日は少し趣向を変えて。
新作の紹介でも、一つの商品を細かく見ていく回でもありません。
Aleksandr Manamïs
当店では長く取り扱っているブランドの一つですが、今日はこのブランドについて、改めて書いてみようと思います。
というのも、Aleksandr Manamïsって、服を見ればなんとなくこういうブランドなんだろうなという雰囲気は伝わるのですが、いざどういうブランドですかと聞かれると、一言で説明するのが難しいブランドなんですよね。
アルチザンではありそうだけどアンティーク感やクラシックさも感じる。
アヴァンギャルドなのかロマンティックなのか。
色々な言葉を当てはめることはできますがどれか一つで説明するとむずい。
なので今日は、その辺りも含めて改めて。

Aleksandr Manamïsは、デンマーク・コペンハーゲンを拠点に活動するブランドです。
事業としては2007年に始まり、現在までコレクションを発表し続けています。
ちなみに正式なブランド表記は、
Aleksandr Manamïs
最後の「i」にトレマが付く、この表記です。
そして、あまりこれまでしっかりと触れてきませんでしたが、デザイナーは非公開なんですね。
誰がデザインしているのかを前面に出すブランドではなく、あくまでAleksandr Manamïsというブランドそのものが魅力的に映るのはこれゆえなのかしら。

では、実際にどんな服を作っているのか。
マナミスの服には、クラシックなテーラリングやヴィンテージウェアの要素がベースにありながら、それをそのまま再現するのではなく、シルエットやバランスを少し崩したものが多く見られます。
形自体はある程度馴染みのあるものでも、肩の落とし方や丈感、生地の分量、レイヤードの仕方によって独特な空気に変えております。
ただ奇抜な形を作るというより、ベーシックな洋服を少しだけずらしていくというイメージで捉えていただければ。

そしてやはり、このブランドを最も分かりやすく表していると思うのが、生地です。
展示会でマナミスを見る時も、毎回まず生地に目がいきます。
というかいかざるを得ないくらい。
古いカーテンのようなものや絵画のようなものまで。
昔の家具に使われていた生地や、アンティークショップの奥に置いてありそうなものまであります。
実際にそれらを使っているという意味ではなくそういうものを連想させるテキスタイルが非常に多い。
新品の生地なのに、どこか時間が経っているように見えるんですよね。
プリントやジャカードによる柄もあれば、表面のネップや織りのムラ、染めの濃淡によって表情を作っているものもあります。
さらにコレクションによっては、Aleksandr Manamïsのために特別に製作された生地やパーツが使われることもあります。
なのでこのブランドの場合、この服はどんな形をしているかだけではなく、この生地をなぜこの形に使っているのかまで見ると、かなり面白いです。
そして細かいところでいくとボタンも素敵です。
これもマナミスを長く見ている方なら、もう当たり前に感じていただいているかもしれませんね。

水牛の角を使ったものや少し不揃いなもの、光の当たり方によって表情が変わるものまであって、まるで昔の洋服から取り外したと感じるものすらあります。
明記すると仰々しい気がしますが、その服の世界観はボタンまで含まれた上で成り立っていると感じるわけですね。
以前の作品では、水牛の角から作られたボタンの裏側に、さらにレザーの力ボタンを付けているものも多く、今季のシャツにも見受けられます。
そこまでやっても着ている時にはほとんど見えませんが、でも着ている最中には実感できるわけです。

表側だけではありません。
裏地やポケットの内側やステッチまで、洋服の内側まで見ていくと、意外と細かいことをしています。
なのでマナミスに関しては、店頭でぜひ一度服を裏返して見てみてほしいです。
ハンガーに掛かっている状態だけでは分からない部分が結構ありますからね。
でもこれは決して手作業だから偉いとか、細かいから高級という話ではありません。
ただ、表から見えないところまで含めて、一着の服として考えているというこの思想の積み重ねが、最終的にこのブランドの雰囲気になっているんだと思います。

そして、ブランド全体に流れている少し古いヨーロッパのような空気。
これがたまらない。
このブランドについて調べていると、英国ロマン主義や19世紀の肖像画、詩人たちとの関係について書かれている紹介文を見かけることがありますが、この辺りについてはブランド自身から明確に語られた情報が非常に少ないので私たちも、このブランドはこの時代から影響を受けていますと断定して説明することはしていません。
でも、実際に服を見ていると、そう感じる理由はよく分かります。
花柄や植物柄、虫が登場したり。
そこに褪せた色や長い丈がプラスされ、柔らかな布によるクラシックなジャケットが完成されたり。
少し古びたような表情が、どこか絵画的で、抒情的なのでございます。
ただのヴィンテージ再現とも違い、昔の服をそのまま作っているわけでもないのです。
古いものから感じる空気だけを拾って、現代の洋服へ昇華しているように思います。



そしてマナミスは、ジェンダー感が強くないブランドとしても印象的です。
メンズのジャケットに非常に繊細な生地が使われていたり大きな花柄が入っていたりしていますし、逆に丸みを帯びた柔らかなシルエットの中に、古いワークウェアやミリタリーのような無骨さがあったりしておりますね。
性別を判定しやすい雰囲気の中間を自然に行き来しているように感じます。
だから当店でも、サイズさえ合えばカテゴリーにあまり縛られず見ていただいて良いと思っています。
マナミスはアルチザンブランドだと思っておりますが、例えばD.HYGENやDUELLUMのようなブランドとは、同じアルチザン的な文脈の中に置かれることがあっても、向いている方向はかなり違います。
人体構造や機能を研究し尽くした工業的な加工が際立つというよりも、マナミスはもう少し記憶だったり時間だったり、古い洋服だったり、テキスタイルだったり。
そういうところから服を作っているように見えます。
だから、すごく強い服なのに、表情は柔らかいものが多いですね。
反緊張主義とでも明言しましょうか。


そして最後に言いたいことは、
マナミスは実際に着ると意外とマジで普通に着られるんですよね。
ハンガーで見ると、こんなんどこに着ていくねんと思う服もありはします。
でも、一度袖を通して鏡の前に立つと、なんだ全然いけんじゃんって感じに納得できちゃうんですな。
これは長く扱っていて毎回感じます。
写真だけだと世界観の強い服に見えるのに、人が着るとちゃんと洋服になる。
作品として眺めるものではなく、ちゃんと日常で着られる。
これが、このブランドを通してお伝えしたい内容だったりします。
シーズンごとに新しい服が届いて、商品単体の紹介をしていると、どうしてもその服の話だけになってしまいますが、その服がどういうブランドから生まれていて、何を大事にしているブランドなのかを知った上で見ると、同じ一着でも少し違って見えると思います。

いかがでしたでしょうか。
今回の記事を読んでくださった皆様には、是非明日から店頭でも改めてマナミスの作品をゆっくり見ていただければと思います。
そして最後に、実際に着てみてください。
写真だけでは分からないことが本当に多いブランドです。
すでにAleksandr Manamïsを持っている方にも、名前は知っているけれどまだ着たことがない方にも、改めて見ていただけるきっかけになれば幸いです。
それでは今日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。
長岡
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